腰椎椎間板ヘルニアによる生活や仕事への影響
腰椎椎間板ヘルニアの患者さん400名にアンケート調査!
痛みが悪化する季節・天気と痛みによる生活・仕事への影響
出典 インテージヘルスケア調査
(生化学工業調べ)
腰椎椎間板ヘルニアの患者さん400名を対象にインターネットによる調査を行いました。その中から季節・天気による症状の変化、仕事や生活への影響についての結果をご紹介します。
腰椎椎間板ヘルニアとは?
腰の椎間板から髄核(ずいかく)が飛び出し、近くを通る神経を
圧迫した結果、痛みやしびれが出る病気です。
背骨(せぼね)は椎骨(ついこつ)という骨が積み重なってできていて、椎骨の間でクッションの役割を果たしているのが椎間板です。
椎間板の中心にはゼリー状の髄核があり、周囲をコラーゲン線維(線維輪:せんいりん)が囲んでいます。
腰の椎骨(腰椎)の間にある椎間板は特に、日常生活で負担がかかることも多く、何らかのきっかけで線維輪の亀裂を通じて髄核が飛び出すことがあります。
この飛び出した部分をヘルニアと呼び、このヘルニアが近くを通る神経を圧迫して痛みやしびれなどの症状を引き起こすのが、腰椎椎間板ヘルニアです。
腰椎椎間板ヘルニアの主な症状
腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、足の痛みやしびれ、腰痛です。
多くの場合、片側の足に症状がみられます。太ももの後ろからふくらはぎ、すねの外側などに痛みが走り、痛みの強さには個人差があります。
また、両側の足に症状がみられることもあり、足や腰の痛み以外にも筋肉の麻痺(まひ)、足を持ち上げにくい、歩きづらい、足の感覚が鈍くなるといった症状や、重症の場合、尿が出にくいといった排尿障害が起こることもあります。
急に痛みがでることが多いとされていますが、徐々に痛みが強くなるケースもあります。
こんな症状はありませんか?
腰椎椎間板
ヘルニアチェックリスト
下記のような症状がある場合には、腰椎椎間板ヘルニアの可能性がありますので
医師に相談してみましょう。
- 太ももの後ろからふくらはぎ、スネの外側などに広がる痛みがある
- 腰痛がある
- 足に痛みやしびれがあり感覚が鈍くなる
- 足の力が弱くなり歩きづらい
- 尿が出にくいといった排尿障害がある
※診断を示すものではありません。医師へ相談する目安にご活用ください。
腰椎椎間板ヘルニアの診断方法
腰椎椎間板ヘルニアは、視診、問診、触診、神経学的診察・検査を行って診断されます。
腰椎椎間板ヘルニアの診断は、症状、経過、身体の診察の結果、レントゲン、M R I 検査などを総合して診断します。
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視診
痛みがどれだけ強いのか、歩き方や顔の表情を確認します。
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問診
「いつから痛いか」「どこが痛いか」「どのような症状があるか(痛み、しびれ、動けない等)」「痛みやしびれの種類(鈍痛、刺すような、チクチクする等)・程度」などを問診します。
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神経学的診察・検査
体をひねったり前かがみになったりして痛みが出るのか、足を持ち上げたり曲げたりして特定の場所が痛くなるかなどを調べます。
X線検査で、腰椎椎間板ヘルニア以外の疑われる疾患を否定したり、MRI検査によって腰椎椎間板ヘルニアの場所、大きさ、形、神経がどれだけ押されているかなどがわかります。
腰椎椎間板ヘルニアの治療方法
主に保存療法、椎間板内酵素注入療法、手術療法の3つです。
腰椎椎間板ヘルニアの治療法は、保存療法からはじめるのが一般的です。
腰椎椎間板ヘルニアは自然に縮小したり、大きさは変わらなくても症状がおさまるケースも多いため、まず保存療法で様子をみます。
保存療法で効果がみられない場合、その他の治療が検討されます。
保存療法
安静
薬物治療
コルセット
神経ブロック
痛みの起こっている神経やその周辺に薬剤を注入して痛みを抑えます。
椎間板内酵素注入療法
ヘルニアのある椎間板の髄核(ずいかく)内に薬剤を直接注射する方法です。
髄核に適切な量の薬剤を注⼊すると、髄核内の保⽔成分が分解され、⽔分による膨らみが適度にやわらぎます。その結果、神経への圧迫が改善し、痛みやしびれが軽減すると考えられています。
治療はX線で確認しながら1回の注射のみで終了します。
※2回以上行うことはできません。
※ヘルニアの形態や症状によっては対象とならないことがあります。
※アナフィラキシー(アレルギー反応が全身にあらわれること)が起こることがあるので、すぐに対処できるように、投与後数時間から一晩は病院にて過ごすことが多いです。
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(イメージ図)
椎間板内酵素注入療法チェックリスト
- 腰椎椎間板ヘルニアと診断されている
- 保存療法を行っているが十分な効果が得られていない
- 椎間板内酵素注入療法を一度も受けたことがない
上記の全てに当てはまる方は椎間板内酵素注入療法の対象となる可能性があります。
椎間板内酵素注入療法を検討したい方は主治医にご相談ください。
手術療法
手術によりヘルニアを取り出し、神経への圧迫を取り除きます。
手術方法はいくつかあり、直接目で見ながら手術する方法や内視鏡を使用する方法など、手術方法によって特徴が異なります。
全身麻酔で行い、通常は3、4日から10日間ほど入院します。手術は保存療法を2~3カ月続けても治療効果が得られない場合に行われるケースが多いです*。
*麻痺(まひ)や排泄障害などがある場合はすぐに手術が必要なことがあります。
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(イメージ図)
腰椎椎間板ヘルニアにはさまざまな治療法があります。
ヘルニアを疑われる方は、一度、主治医にご相談ください。
監修:慶應義塾大学医学部 整形外科学教室 岡田 英次朗 先生